祖母の菜園は、私の心の故郷だ。都会で育った私にとって、祖母の田舎の家は別世界。夏休み、祖母と一緒にトマトやキュウリを育てた。土の匂いと祖母の「野菜は愛情で育つ」の言葉が、子どもの私に響いた。大学進学後、忙しさで帰省が減ったが、3年前、祖母が「菜園が寂しい」と電話してきた。
久しぶりに訪れると、菜園は雑草だらけ。祖母と汗だくで草を抜き、新しい苗を植えた。トマトが実った日、祖母の笑顔は子どもの頃と変わらなかった。彼女は「土と話すと心が軽くなる」と言い、一緒に作ったサラダは格別だった。
去年、祖母が体調を崩し、菜園が心配だったが、私が週末に通って手入れ。祖母が退院した日、菜園のナスを見せると、「お前がいてくれてよかった」と涙ぐんだ。菜園は、祖母の愛と私のルーツだ。今、祖母と新しいハーブを植え、将来は子どもにこの土を触らせたい。土の温もりは、家族の絆そのものだ。